不良狼の一途な溺愛
「えっ!?」
何をするんだろう…と思っていたのも束の間、蓮君はそのまま私を抱き上げてしまった。
いわゆる、お姫様抱っこ状態。
私は恥ずかしくて手足をバタバタと動かした。
「れ、蓮君っ…下ろして!私、自分で歩けるから。」
「歩くと傷が痛むだろ?」
「そんなに心配しなくても、大丈夫だよ。足を動かしても、あまり痛くないんだから。」
アピールするように足を大げさに上下させたけれど、蓮君は私を抱きかかえたまま、保健室へと歩き始めてしまった。
「やっ…!蓮君、誰かに見られたりしたら恥ずかしいから下ろしてよっ!」
「ダメだ。大人しく俺に運ばれてろ。」
有無を言わせないような低い声で命令されてしまい、私は口を閉じた。
うぅっ、強引すぎるよ…。
自分で、ちゃんと歩いて行けるのに……。
一人で大丈夫なのに…。