不良狼の一途な溺愛
「教室に次々と女子が帰って来るのに、柚は…なかなか姿を見せない。何かあったんじゃないか…って直感で思った。それで更衣室の方に向かっんだ…。」
な、なるほど…。
「その途中…廊下で立ち話してた女子たちの会話を耳にしたんだよ。」
「か、会話…?」
「ああ。早崎が柚の腕を引っ張って体育館の方に行った…って話してたんだ。それを聞いて、あの場所がパッと頭に浮かんだってわけ。そこに柚が居る…って気がしたんだよ。」
「す、すごい…。」
自然に口から零れた言葉だった。
そんな風に直感で来てくれるなんて、まるで私の助けを求めた気持ちが伝わったかのよう…。
ポカンと口を開けて驚いていると、蓮君は苦笑いを浮かべた。
「でも、駆けつけるのが遅かったせいで柚はケガしたんだから、全然すごくなんかねぇよ。」
「そんなことないよ!蓮君が来てくれなかったら、このケガだけじゃ済まなかっただろうし…。本当にありがとう…。」
改めて感謝の気持ちを伝えると、蓮君は優しい笑みを零した。