不良狼の一途な溺愛
意外な言葉だった。
あの時の表情を思い浮かべる限りでは、蓮君が嬉しそうな顔をしていた印象は無かったからだ。
「迷惑じゃ…なかったの?」
おそるおそる聞いてみると、蓮君は笑いながらコクンと頷いた。
「俺は…大したケガじゃないから放っておけばいいと思ってたけど、柚は“どうでもよくない”って言って、絆創膏を貼ってくれただろ?」
「うん…。」
「あの時、お前の優しさに胸が高鳴ったんだ…。」
その言葉に反応したかのように、私の心がドクンッと跳ね上がる。
鼓動が少しずつ速くなっていくのを感じた。
「柚が逃げるように去って行った後、また会いたい…って思った。」
「えっ、そうなの…?」
信じられない…と言わんばかりに瞬きを繰り返す私に、蓮君は目を細めて笑った。
「気に食わないどころか、お前のことが気になり始めてた…。」