不良狼の一途な溺愛
「柚、帰るぞ。家まで送る。」
「えっ、いいよいいよ!手当てしてもらった上に、送ってもらうなんて悪いから…。」
「ダメだ、送る。」
蓮君に、キッパリ言い放たれてしまったら、私が折れるしかない。
ここで食い下がったとしても、平行線を辿るだけだ。
「そ、それじゃあ…お願いします…。」
ソファーから、ゆっくり立ち上がる私に、蓮君は嬉しそうな笑みを浮かべた。
「あなたたち、気をつけて帰ってね。雨も降ってきたみたいだから。」
「えっ…」
窓の外に目を向けると、パラパラと雨が降り始めていた。
そう言えば、今日の予報…夕方から雨だって言ってたな…。
傘を持ってきて良かった…と安堵していると、蓮君は私の手を握った。
「行くぞ。」
「う、うん…。」
グイッと手を引かれる。
さっさと出るぞ、と言わんばかりの雰囲気だ。
「し、失礼します…。」
先生に慌ててお辞儀をした私は、蓮君に連れられて保健室を出た。