不良狼の一途な溺愛
「ほら、行くぞ?」
「あっ……うん。」
穏やかな声で促され、私は蓮君と一緒に家へと歩き始めた。
昨日のお出かけの時と同様、私のペースに合わせて歩いてくれる蓮君。
速すぎず遅すぎず、ほどよい感じだ。
「柚、もう少し俺の近くに寄れ。」
「どっ…どうして?」
「あまり離れてると濡れるだろ。お前に風邪…ひかせたくねぇから。」
優しい気遣いにドキッと心が跳ねる。
私はチラチラと蓮君の方に目を向けた。
ハッキリ言って、すでに触れてしまいそうなほど近い私たちの距離。
こ、このままでいいと思うんだけど……。
心の中で訴えていると、蓮君は私の顔を覗きこんだ。