不良狼の一途な溺愛
「そんなに急ぐ必要ねぇだろ。」
「こ、こういう雨の強い日は、早く家に帰った方がいいよ!」
本当の理由は、赤くなっている今の顔を蓮君にジックリと見られたくないから。
でも、そんなことストレートに言えるわけがない。
適当に誤魔化して、スタスタと足を進める。
おそらく蓮君は、そんな私の行動を不思議に思っているに違いない…。
でも、黙って私の歩調に合わせて歩いている。
ザーザーと雨音が辺りに響く中、黙々と歩く私。
気が付くと、家のすぐ傍に架かっている小さな橋の前まで来ていた。
「あ、あの…蓮君。ここまででいいよ。」
急に立ち止まる私に反応して、蓮君も直ぐに足を止めた。
「家まで送るって言ったはずだ。」
不服そうな声が返ってきたけれど、私は言葉を続けた。