不良狼の一途な溺愛
「わ、私の家…この橋を渡って直ぐなの!ほ、ほら…あそこの深緑色の屋根の家だから!」
すかさずビシッと指差す。
蓮君も私の家の方に視線を向けた。
「けど、あそこまで行く間に変な奴に絡まれたりしたらどうすんだよ。」
いやいや、それは無いって…。
周りを見ても、私たち以外…歩いている人がいないじゃない。
過度の心配をする蓮君に、苦笑いしてしまった。
「と、とにかく…ここでいいよ。お…送ってくれてありがとう…。」
軽く頭を下げた私は、傘の柄をツンと突いた。
「この傘、良かったら使って帰って?返すのは、いつでもいいから…。」
“それじゃあ…”と言って、傘から出ようとしたけれど、蓮君に手首を掴まれてしまった。
「待て。」
低い声が雨音に混じって耳に届く。
蓮君の方に顔を向けると、視線が絡まった。