不良狼の一途な溺愛
本…?
その言葉に、ゆっくりと自分の手に視線を落とした。
し、しまったぁぁ!!
紫堂君の落としたマンガ本、まだ手に持ったままだった…!
最強の不良を目の前にして動揺していたためか、マンガ本を返すことをスッカリ忘れていた私。
嫌な汗がブワッと吹き出した。
な、なんてことなの!
私のバカっ!
自分の失態を責めたけれど、こうなったからには後の祭り。
とにかく本を渡さなくては。
おそるおそる紫堂君の方に体を向けた。