不良狼の一途な溺愛

こんな表情を蓮君にジックリと見られてるかと思うと、恥ずかしさが更に増してしまった。


「蓮君…、そんなに私の方を見ないで?」


「好きな女をずっと見ていたいと思うのは、当然の心理だろ。見るな…っていう方が無理だ。」


うぅ…。


何も言えなくなってしまい、両手で熱い頬を覆っていると…


「柚〜!朝食が出来たわよ〜!」


私を呼ぶ、お母さんの声が聞こえてきた。


階段の下で呼んでいるんだろう。


大きな声が私の部屋まで聞こえてきた。



「朝食なら仕方ないな。」


蓮君は少し残念そうに笑う。


「あのっ、私…着替えるから…えっと……」


「分かってるよ。俺、下で待ってるから。」


コクコクと頷くと、蓮君は私の前髪にフワッとキスを落とした。


「きゃっ…!」


思わず声が零れる。


またしても不意打ちなキスをされてしまい、驚きを隠せない。


「ここ、少し寝癖ついてる。」


蓮君は優しい笑顔で、キスした前髪を梳いて整えた後、ゆっくりとした足取りで部屋から出ていった。



< 214 / 364 >

この作品をシェア

pagetop