不良狼の一途な溺愛
こんな表情を蓮君にジックリと見られてるかと思うと、恥ずかしさが更に増してしまった。
「蓮君…、そんなに私の方を見ないで?」
「好きな女をずっと見ていたいと思うのは、当然の心理だろ。見るな…っていう方が無理だ。」
うぅ…。
何も言えなくなってしまい、両手で熱い頬を覆っていると…
「柚〜!朝食が出来たわよ〜!」
私を呼ぶ、お母さんの声が聞こえてきた。
階段の下で呼んでいるんだろう。
大きな声が私の部屋まで聞こえてきた。
「朝食なら仕方ないな。」
蓮君は少し残念そうに笑う。
「あのっ、私…着替えるから…えっと……」
「分かってるよ。俺、下で待ってるから。」
コクコクと頷くと、蓮君は私の前髪にフワッとキスを落とした。
「きゃっ…!」
思わず声が零れる。
またしても不意打ちなキスをされてしまい、驚きを隠せない。
「ここ、少し寝癖ついてる。」
蓮君は優しい笑顔で、キスした前髪を梳いて整えた後、ゆっくりとした足取りで部屋から出ていった。