不良狼の一途な溺愛
その後、平常心になれず、ソワソワしながら制服に着替えた私。
朝食を食べようとキッチンに行ったけれど、波打つ鼓動は激しいまま。
そのせいもあってか、用意されていたトーストを二口ほど食べただけで、それ以上は喉を通っていかなかった。
お腹は空いているのに不思議…。
そんなことを思いながら、最終的な身支度を整えて、蓮君と一緒に家を出る。
昨日の夕方、勢いよく降っていた雨が嘘のように、綺麗な青空が広がっていた。
「柚、紫堂君、気をつけて行ってらっしゃいっ!」
嬉しそうに手を振るお母さんに見送られ、私たちは学校へと歩き始めた。
蓮君に手を握られながら、家の傍の橋を渡り終えると、心臓がドクドクと急激に速くなっていく。
なぜなら、ここは昨日…蓮君に告白された場所。
それだけに、どうしても意識してしまう。
ひゃああ…。
またしても、あの時の光景が…!
一人でアタフタしていると、蓮君のフッと笑う声が聞こえてきた。