不良狼の一途な溺愛
うっ、怖い…。
ますます不機嫌オーラを増している紫堂君に体がすくむ。
鋭い眼差しに固まっていると、私の目の前に彼の手が差し出された。
「早く返せって。」
そんな風に急かさないでよ!
こっちは恐怖で体が上手く動いてくれないんだから。
本人に言葉をぶつけられないので、心の中で文句を言う。
「す、すみません…。」
これ以上、波風をたてないように謝りながら、マンガ本を紫堂君の手にのせようとした私だけれど…
「きゃっ!」
彼の手のひらを見た瞬間、思わず声をあげてしまった。
や、やだ…。
ケガしてる…。
手にはすり傷があって、血が渇いていた。