不良狼の一途な溺愛
「ダメだ。離してやんねぇ。」
「えぇっ!」
私の抵抗をもろともせず、抱きしめた状態の蓮君。
ハッとして周りを見れば、沙織やクラスの人たちの視線が私たちに注がれていた。
一気に恥ずかしさが込み上げる。
「や、やだっ…離してよ!みんなに見られてるっ…!」
バタバタと激しく体を動かすと、蓮君は私のお腹に回していた手をゆっくりと離した。
も、もしかして……切実に訴えたから、折れてくれたのかしら…。
そう思っていると、蓮君は私の手をギュッと握った。
「見せつけてやりたいけど、お前の可愛い表情を他の男に見られっぱなしなのは気に食わねぇ。場所変えるぞ。」
「えっ……」
そういう理由なの!?
ポカンと口を開けて驚いていると、蓮君は私の手を引いて歩き始めた。