不良狼の一途な溺愛
「あっ、待って!」
私は蓮君をグイグイと引っ張って自分の席へと戻る。
机の上に置いておいた、お弁当の入った小さなバッグを手にした。
「こ、これが無いとエネルギー補給が出来ないから……」
小さな声でポツリと零すと、蓮君から“そうだな。”という言葉が笑顔と共に返ってきた。
「じゃあ、行くか。」
「う、うん…。」
コクンと頷いた途端、蓮君はスタスタと教室の入り口に足を進める。
教室を出る際、沙織に視線を向けると、キラキラと目を輝かせながら私に手を振っていた。
沙織ってば嬉しそうな表情してるよ…。
後で教室に戻ってきたら、色々と質問攻めにあいそうだな…。
そんな不穏な予感を抱きつつ、校舎の廊下を進んでいく。
すれ違う生徒に興味溢れる視線を注がれながら、私たちは立入禁止の校舎へ。
屋上に着くと、蓮君はいきなり私をギュウッと抱き締めた。