不良狼の一途な溺愛
「ちょっと、蓮君っ!?」
驚きのあまり、手に持っていたお弁当入りのバッグを危うく落としそうになった。
「やっと、心おきなく柚に触れられる。」
「さ、さっきも教室で抱き締めてたでしょ!?それに、今の今まで手も繋いでいたじゃないっ!」
どこが“やっと”なのよ…。
反論の言葉をぶつけると、蓮君はニヤリと口の端を上げて笑みを浮かべた。
「…ここなら二人きりだ。」
「だ、だから?」
「人目を気にすることなく、思いっきり…お前を堪能できるってこと。」
「た、たっ…堪能!?」
上手く口が回らない。
ドキリ…と心に響く衝撃音が凄まじくて、瞬きを何度も繰り返す。
そんな中、蓮君は私の前髪をフワリと掻き上げて、キスを落とした。
「きゃっ!」
まさかキスなんてされると思ってなかった私。
見事な不意打ちのせいで、お弁当の入っている小さなバッグは敢えなく手から滑り落ちてしまった。