不良狼の一途な溺愛
「何だよ。」
「だ、だって…その傷。」
震えながら指差すと、紫堂君は“ああ、これか…。”と、あまり関心のない声を零した。
「朝、ちょっとヤりあったからな。その時だろ、多分。」
それって、朝っぱらからケンカしたってことだろうか…?
なんて物騒なの…。
不良の日常って凄まじいものなんだな…と驚いてしまった。
「んなこと、どうでもいいじゃねぇかよ。早くしろ。」
ど、どうでもいいって…何よ…。
イライラした様子で手を差し出し続ける紫堂君に、なんだかムカッとなった。
「ど、どうでもよくないです…。」
「は?」
「ケガしてるじゃないですかっ!それを見せられた方の身にもなって下さい!!」
気付けば、あまりにもケガに無関心な紫堂君に、私は声を荒げていた。
ハッとして紫堂君の顔を見れば、目を見開いて固まっている。
どうやら、ビックリしたみたいだ。