不良狼の一途な溺愛
「柚、それは…反則だ。」
「は、はい…?」
私は、ただお願いしただけなのに…どこが反則だっていうの…?
疑問符を浮かべながら首を傾げると、蓮君は背中に回していた手を離してくれた。
「そんなに目を潤ませて訴えられたら、ダメとは言えねぇ。」
ポツポツと呟く蓮君は、気恥ずかしそうに頭を掻いた。
な、なんだか…よく分からないけど、解放してもらえて良かった…。
安堵感に浸っていると、私たちの様子を見ていた比嘉原君がクスッと笑った。
「蓮ってば、すごい溺愛っぷりだね。御苅さんに対する愛情の強さを感じる。」
「で、溺愛っ!?」
のどかな青空が広がる屋上に、私の大きな叫び声が響いた。
「俺、蓮が一人の女に夢中になってる姿、初めて見たよ。好きになった女には、こんなにも一途なヤツなんだな…って思った。陸都もそう思うだろ?」
笑みを浮かべる比嘉原君に、陸都君はコクコクと頷いた。
「ああ。一途な上に嫉妬も激しすぎ。柚ちゃんに気軽に話し掛けようものなら、殺気溢れる怒りをぶつけてくるからな…。」
陸都君は蓮君を見ながら、ハハハ…と苦笑した。