不良狼の一途な溺愛
「てめぇ、まさか柚のこと…本気で狙ってるんじゃねぇだろうな。」
蓮君はグッと拳を作る。
怒りのオーラをバシバシと放っていて、ものすごく怖い。
「陸都、ここは素直に教室に戻った方が良さそうだぞ?これ以上…蓮を刺激するとヤバイ。」
事態を察した比嘉原君が声を掛けると、陸都君は“そ、そうだな…。”と、ぎこちなく言葉を発した。
「邪魔してごめんな、蓮。じゃあ…またなっ!」
「二人とも、ごゆっくり。」
陸都君に続いて比嘉原君の言葉が耳に届く。
蓮君の後ろから、ゆっくり顔を出すと、二人が足早に屋上から出ていく姿が目に映った。
そ、そんなに急いで出て行かなくても……。
二人ともビビりすぎなのでは…と考えていると、蓮君から溜め息が漏れた。
「…ったく、アイツら…柚の前で色々と言いやがって…。」
クシャクシャと頭を掻く蓮君。
耳がほんのり赤く染まっているように見えた。