不良狼の一途な溺愛
背後から聞こえてきた声に振り向く間もなく、私のお腹の辺りに蓮君の手が回された。
「きゃっ!」
ビックリして体が跳ねる。
いつの間に来たの!?
そんなことを思っているうちに、私は蓮君の足の間にスッポリとおさまるような状態で後ろから抱き締められていた。
「蓮君、なっ…何してるの?」
「見ての通り、お前を抱き締めてるんだよ。」
「な、なんで?さっき解放してくれたでしょ?」
「…アイツらに邪魔されたら、また抱き締めたくなった。」
えぇぇっ!!
陸都君と比嘉原君が引き金だなんて…。
まさか、そんなことになるとは思ってもみなかったよ…。
「それに、この態勢なら柚に表情を見られなくて済む。」
た、確かに…こんなにガッチリと抱き締められたら、体が自由に動かせないから、表情なんて伺うことが出来ない。
っていうか、お弁当も食べられないんですけど…。
手に持ったままの箸を見ながら溜め息を零した。