不良狼の一途な溺愛
「帰るぞ。」
「えっ?」
「なんか、柚…疲れてるみたいだから今日は屋上に行くのは止める。」
蓮君は立ち上がって私の手を引いた。
疲れてるように見えてるんだ…私。
実際、心の落ち着く間がないから、疲労感があるのは否めない。
もちろん、その原因になっているのは蓮君なわけだけど……。
教室から連れ出された私は、チラリと隣を歩く蓮君に視線を向けた。
でも……
私の表情を見て気にかけてくれたこと、ちょっぴり嬉しい…って思っちゃった。
どうしてかな…?
疑問に感じていた時、蓮君の視線がこちらに向けられた。
「ん?俺の顔、何かついてんのか?」
「ち、違うの!何もついてないから大丈夫。」
アタフタしながら否定すると、蓮君はニヤリと口の端を吊り上げた。
「それじゃあ、俺を見つめてくれてたわけか…。」
少し照れくさそうに言う蓮君に、私の頬はボッと火が点いてしまったかのように熱くなった。