不良狼の一途な溺愛
真相
「柚、今日は何だか上の空だね…。大丈夫?」
「うん……。」
午前中最後の授業だった化学が終わり、教室へと戻る途中、沙織から心配そうな声を掛けられコクンと小さく頷いた。
私、ずっと蓮君のことばかり考えてたなぁ…。
先生の話は殆ど耳に入ってこないし、ノートも書けなかった。
正直、授業どころじゃなかったよ…。
はぁ……と溜め息を零すと、沙織が私の顔を横から覗きこんできた。
「あっ、もしかして…元気がないのは紫堂君がお休みだから?」
沙織の言う通りなだけに、ドクンッと心臓が跳ねる。
何も言えずにいると、沙織は私の背中をポンッと軽く叩いた。
「柚と紫堂君、いつもラブラブだもんね…。彼氏が休みだと寂しいのは、よく分かるわ!」
「えっ、だ…だから蓮君とは、まだ付き合ってるわけじゃ……」
「頑張って、柚!ここは気合いで乗り切るのよっ!」
沙織はギュウッと私の手を握るなり、ブンブンと上下に動かした。