不良狼の一途な溺愛

う、うそ…。


驚いて声を出してしまいそうになったのを、必死に堪えた。


蓮君が女の子に手を上げた…?


何かの間違いじゃない?


私は何度も瞬きを繰り返しながら、男の子たちの方をジッと見つめる。


「なるほど。」


「女にも容赦ないんだな、紫堂のヤツ。」


男の子たちは、何やら納得するかのように頷いていた。


そんなこと……あるわけないよ…。


周りに近寄ってくる女の子たちに、鬱陶しそうな表情したり、無愛想に振る舞ったりするけど…


手を上げたところなんか…見たことない。


蓮君、優しい人だもん…。


キュッと唇を噛み締めていると、一人の男の子が不意に首を傾げた。



「ん?そう言えば、お前…なんで紫堂の事情を詳しく知ってるわけ?」



< 267 / 364 >

この作品をシェア

pagetop