不良狼の一途な溺愛
う、うそ…。
驚いて声を出してしまいそうになったのを、必死に堪えた。
蓮君が女の子に手を上げた…?
何かの間違いじゃない?
私は何度も瞬きを繰り返しながら、男の子たちの方をジッと見つめる。
「なるほど。」
「女にも容赦ないんだな、紫堂のヤツ。」
男の子たちは、何やら納得するかのように頷いていた。
そんなこと……あるわけないよ…。
周りに近寄ってくる女の子たちに、鬱陶しそうな表情したり、無愛想に振る舞ったりするけど…
手を上げたところなんか…見たことない。
蓮君、優しい人だもん…。
キュッと唇を噛み締めていると、一人の男の子が不意に首を傾げた。
「ん?そう言えば、お前…なんで紫堂の事情を詳しく知ってるわけ?」