不良狼の一途な溺愛
……確かに。
その疑問に共感してしまった。
陸都君や比嘉原君ですら、詳しいことは知らないって言うのに…
どうしてなの…??
頭の周りにハテナマークがいくつも浮かんだ。
「実は、俺の友達が現場を目撃してさ、そいつから色々と話を聞いたんだ。」
そ、そういうことか…。
ひょっとしたら、デタラメなことを勝手に言ってるんじゃないか…って思い始めてたけど、どうやら違うみたいだ。
「その友達、陸上部のヤツでさ、一週間ぐらい前…体育館裏にある古びた用具倉庫に行こうとしたんだけど…」
「えっ、体育館裏の倉庫なんて、普段…使わないだろ?グラウンドの入口に綺麗な倉庫があるじゃん。」
「ああ。だけど、その日…部活で使う用具が不足しちまって、急きょ…古びた倉庫から持って来ようとしたみたいなんだ。」
黒髪で短髪の男の子は笑みを浮かべながら、話を続けた。
「それで、体育館のところまで来たら…裏側の方から男の声が聞こえてきたらしい。不思議に思った友達が、建物の影からおそるおそる見てみると、紫堂が女子の腕をガシッと掴んでたんだってさ。」
えっ……?