不良狼の一途な溺愛
うーん……。
無くしたとなると、学生証を再発行してもらうことになるのかな…。
新学期が始まって間もないのに、早速…大事なものを紛失するなんて。
風間先生に色々と言われそう…。
あのテンション、接していると…なんだか疲れるんだよね…。
学生証のことを、あれこれ頭の中で考えながら、トボトボと重い足取りで教室までやって来た。
「柚、おはよ〜。」
「おはよ…。」
小さな声で挨拶を返すと、沙織は心配そうに私の顔を覗き込んだ。
「どうしたの?なんだか、元気ないじゃん。」
「あ、うん…ちょっとね。でも大丈夫。」
学生証を無くしたことを言うのが恥ずかしくて、曖昧な言葉で紛らわした。