不良狼の一途な溺愛

「そんなに紫堂を怒らせるなんて、女子も何したんだろうな。」


「っていうか、紫堂の気まぐれだったんじゃねぇの?機嫌が悪くて腹いせに…とか。」


「その可能性が高いな。」


違う。


違うよ…。


腹いせなんかじゃない。


蓮君は、私に向かってカバンを投げつけようとした早崎さんを止めてくれたんだもん…。


私を守ってくれたんだから…。


男の子たちの笑い混じりの言葉に、ズキンズキンと胸の中に痛みが広がっていくのを感じた。


「まあ、理由はどうであれ、女に手を上げたわけだからな。俺の友達、翌日に生活指導担当の室芝(ムロシバ)に目撃したことを全て話したんだってさ。それで紫堂は見事に自宅謹慎処分になったわけ。」


「おぉ〜なるほどな。」


みんなで声を揃えて納得している様子を見た私は、胸が掴まれたかのように苦しくなった。


どうして、そんなに嬉しそうに話せるのよ…。


あの時の本当の事情、何も知らないくせに…。


扉の隙間から男の子たちの方をキッと睨んだ後、私は急いで教室へと向かった。



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