不良狼の一途な溺愛
「はぁ…はぁ…」
いつもの屋上まで一気に走ってきたせいか、息が上がってしまった。
ここなら誰も居ないし、心おきなく蓮君と話せるよね……。
少し呼吸を整えた後、私は携帯電話の画面に蓮君の番号を表示した。
蓮君、電話に出てくれますように……!
そう強く願いながら、発信ボタンを押した。
“プルルルル……プルルルル……”
無機質な呼び出し音が鳴り響く。
落ち着かなくて辺りをウロウロと歩いていると…
『……柚?』
5コール目が終わったところで、蓮君の声が電話口から聞こえてきた。
「れ、蓮君っ!?」
慌てて私も言葉を返す。
蓮君の優しい声が聞けて、少しホッとしてしまった。