不良狼の一途な溺愛

蓮君の低い声に体がビクッと震えた。


「ど、どうして?私があの時のことを証言すれば蓮君は……」


『そんなことしたら、柚が…あの日の出来事を改めて思い出すことになるじゃねぇか。』


「えっ…」


『しかも言葉にして教師に話すんだぞ?色々と根掘り葉掘り聞かれるかもしれない。もしかしたら、柚が俺を庇って嘘ついてるんじゃないか…って、教師に疑われる可能性だってある。』


「だ、だけど…」


ちゃんと真実を話すべきだよ…。


そう思いながら食い下がる私に、蓮君は言葉を続けた。



『柚には…嫌な思いをさせたくないんだ。あの時のことも、思い出させたくない…。だから、このまま何もするな。』


「…………。」


『俺は大丈夫。謹慎なんて、どうってことねぇから。まあ、柚に会えないのが唯一、キツいところだけどさ。』


「蓮君……。」


目頭が熱くなる。


こんな時でも、私のことばかり考えてくれてるんだ……。


大変なのは蓮君の方なのに…。


蓮君の優しい想いに胸が苦しくなった。



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