不良狼の一途な溺愛
振り向くと、目に映ったのは屋上の入り口に立っている陸都君と比嘉原君。
おそらく、慌てて教室から飛び出した私を心配して追いかけてきてくれたんだろう…。
「今の話……」
陸都君が小さな声を零す。
どうやら、私と蓮君の電話のやり取りも聞いていたみたいだ。
「あ、あの…実は……」
陸都君たちにも事情を説明しようと口を開いたけれど、比嘉原君が不意に私の傍に近付いてきた。
「詳しい話は…放課後でいいよ。昼休みも残り少なくなってきたし、御苅さん…お昼ご飯まだでしょ?」
腕時計を見た後、私に優しい眼差しを向けた比嘉原君にコクンと頷いた。
「お、お弁当…教室に忘れちゃったんだ……。蓮君のことで頭がいっぱいで…。」
「そっか…。じゃあ教室に戻ろう?何も食べないままだと、午後の授業…キツいからさ。」
「うん、そうだね…。」
微笑む比嘉原君に言葉を返す。
そのあと、私たちはお昼ご飯を食べるべく、足早に教室へと戻った。