不良狼の一途な溺愛
「私、生活指導の先生に事実を話しに行こうとしたんだけど、蓮君に止められちゃった…。」
「うん、それは…やめた方がいい。絶対に。」
陸都君は、納得した表情を浮かべた。
「生活指導担当の室芝って、すげぇ規律に厳しい教師なんだよ。特に素行の悪い生徒には、敵意ムキだしな状態。だから、誰が何を言っても、下された処分は覆らないよ。」
そ、そうなんだ…。
直接、関わったりしたことがなかったから、よく知らなかったけど、なんだか…かなり怖そうな先生…。
陸都君の話にビクビクしていると、比嘉原君が苦笑しながら口を開いた。
「室芝のところに行ったりしたら、多分…その時の状況を、しつこく聞かれるよ。下手したら、蓮を擁護してると思われる可能性大だ。そうなったら、御苅さんまでアイツに目をつけられるかもしれない。」
「れ、蓮君も似たようなこと言ってた…。」
「……そう。」
「それに、嫌な思いをさせたくない…って、あの時のことを思い出させたくない…って、そう言ってたんだ…。蓮君、自分のことより私のこと気遣ってくれたの…。」
頭の中で蓮君の言葉が再生される。
またしても目頭が熱くなってしまい、視界が少し滲んだ。