不良狼の一途な溺愛
「蓮が助けてくれたんだ。ちょうど俺に用事があって外出したらしい。不良グループに囲まれてる俺が目に入った瞬間、急いで駆け寄ってきてくれたみたいだよ…。」
「そうなんだ…。」
「俺は胸ぐら掴まれただけで無傷だったんだけど、蓮は不良グループに怒鳴りつけてたよ。“俺の幼なじみ、傷つけるヤツはただじゃおかねぇ”って。んで、その後は奴らを一蹴してた。」
比嘉原君は、懐かしそうに目を細める。
「俺のために本気で怒ってる蓮を見たら、胸が熱くなったし嬉しかった。大げさかもしれないけど、アイツは…危機を救ってくれた恩人なんだ…。」
あっ…。
ふと頭の中に、比嘉原君と初めて会話をした時の光景が蘇った。
“幼なじみでもあり、恩人でもある”
蓮君のことを、そんな風に言っていたっけ…。
あの時は、どういう意味なのか聞けずじまいで、疑問が残ったままだったんだけど……
そっか…。
そういう過去があったんだ…。