不良狼の一途な溺愛
ビクッと体が反応する。
こ、この声…忘れるわけがない。
だって、昨日…ここで聞いたばかりだもん…。
ビクビクしながら後ろを向くと、そこには不機嫌そうな表情をしている紫堂君が立っていた。
「ひゃああっ、紫堂君!?」
「なんだよ、その声。人を化けモンみてぇに…。」
紫堂君は、ググッと眉間に深くシワを寄せた。
何よ、気配なさすぎ。
ビックリして、心臓止まるかと思ったじゃない…。
「ここに何か用事?」
「えっと…」
学生証を探してました…なんて、紫堂君にわざわざ言う必要もないよね…。
ここは…適当に誤魔化して、さっさと教室に戻ろう。