不良狼の一途な溺愛
無機質な呼び出し音が耳に届く。
早く気付いて欲しい…と願いながら、蓮君が電話に出てくれるのを待ったけれど、コール音が鳴り続けるだけだった。
謹慎になってから何度か蓮君には電話を掛けたけど、こんなこと…初めて。
これまで、数回のコールで声が聞こえてきたのに…。
相当、熟睡しちゃってるのかな…。
私は、ため息を零しながら携帯電話を再びバッグの中に入れた。
「こ、困ったな…。」
インターホンもダメ、携帯電話もダメ…。
他に何か方法あるかなぁ…?
門の前をウロウロと歩き回りながら、必死に頭を働かせたものの、何も思いつかなかった。
うぅ…。
こんなことなら、午前中にでも蓮君に事前連絡しておけば良かった…。
後悔が押し寄せたけれど、もう過ぎたことだから、どうしようもない。
私は、マフィンとお弁当が入っている紙袋に視線を落とした。
どうしよう、この差し入れ…。
ここまで来たんだし、蓮君に渡したいんだけどな…。
またため息が零れた、その時だった。
「ん?この家に何か用?」