不良狼の一途な溺愛
「あの、ところで私の名前は…蓮君から聞いたんですか?」
「“うん”と言いたいところだけど違うんだ…。柚ちゃんのことは陸都から色々と聞いたんだよ。蓮、かなりの溺愛っぷりらしいね。」
「………っ!?」
“溺愛”という言葉に体がビクッと跳ねる。
体中が熱に包まれてしまったかのようだ。
ひゃああ…。
顔から湯気が出てきそうだよ…。
両手を頬にあてると、お兄さんは私と同じ目線に背を屈めた。
「ほんと、可愛い女の子だね。蓮が柚ちゃんのことを俺に言おうとしない理由がなんとなく分かった気がする。」
「えっ、理由…ですか?」
首を傾げる私を見て、お兄さんはニッコリと笑顔で頷いた。
「多分、俺とは関わらせたくないんだよ。」
「そ、そうなんでしょうか…。お兄さんなのに…。」
「それは関係ないんじゃないかな。蓮にとって、柚ちゃんは大切で愛しい女の子。だから、自分以外の男は…みんな敵。きっと、そんなところだよ。」
その言葉を聞いた瞬間、私の心臓がドクンッと慌ただしく波打った。