不良狼の一途な溺愛

「ちょっと待っててね。蓮を呼んでくるから。」


「は、はい…。」


家の中に入ると、お兄さんはスタスタと足早に奥の方へと歩いて行ってしまった。


ポツンと玄関に残った私は、なんだか落ち着かなくて、あちこちに視線を動かした。


外観もだけど、中も綺麗だな…。


この玄関…、かなりゆったりとした造りで広いし、天井からは少し小さめのシャンデリアが吊り下げられてるよ…。


キラキラとまばゆい輝きに見惚れてしまう。


暫くボンヤリと眺めていると、お兄さんが私のところに戻ってきた。


でも、蓮君は一緒じゃない。


「あ、あの…蓮君は…」


「それが、どこにもいないんだ。携帯電話は蓮の部屋のベッドに置きっぱなしだったよ。」


えっ…。
家に……いない?


だけど、携帯電話は部屋にある…。


どういうことなんだろう…?


疑問と不安な気持ちが心の中を駆け巡った。



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