不良狼の一途な溺愛
「昼食後の散歩で、この辺まで来ただけです…。」
「散歩…?」
「は、はい…。それでは私はこれで…。」
不審そうに見ている紫堂君に背を向けて、ゆっくり歩き出したけれど…
ふと、疑問が頭の中に浮かんで、私はピタリと足を止めた。
あれ…?
私…さっき紫堂君に“柚”って呼ばれたよね…。
どうして私の名前…知ってるの…?
紫堂君とは昨日が初対面。
あの時、私は自分の名前を口にしなかったのに…。
一体、なぜ?
私は意を決して紫堂君の方に振り向いた。