不良狼の一途な溺愛

えっ!?


“紫堂”という言葉に体がピクッと反応する。


声の聞こえてきた方に視線を向けると、他校の制服を着た男の子二人が、話をしながらコンビニに入ろうとしていた。


蓮君がどこに行ったか、何か手掛かりが掴めそう…。

よ、よし…!


「あのっ、すみません!!」


私は、男の子たちを慌てて呼び止めた。


突然だったためか、二人はビックリした様子で私を見ている。


どうして呼び止められたのか、全く分からない…といった感じだ。


「えっと、俺たちに何か用?」


ぎこちない声で聞かれて、私はコクンと頷いた。


「蓮君とすれ違った場所…教えてくれませんか?お願いします…!」


「えっ!?」


「今…二人で話してましたよね?私、蓮君を探してるんです!ど、どの辺ですれ違ったんですか?」


前のめりになりながら必死に質問すると、男の子たちは苦笑いを浮かべた。


「えっと、この先に大きい交差点があるんだけど、その辺りですれ違ったんだ。帽子を目深に被ってたけど、すぐに紫堂だって気付いたよ。なんか、尋常じゃないぐらい冷たいオーラ纏ってた。」


「そうそう。威圧感が凄まじかったし、かなりピリピリしているみたいだった。すれ違っただけなのに、生きた心地しなかったな。」


最強の不良で恐れられてる蓮君だけど、いつも…尋常じゃないぐらい冷たいオーラを放ったり、ピリピリしたりしているわけじゃない。


きっと……何かあったんだ。


とにかく、交差点の方に行ってみよう。


「あの、ありがとうございました…!」


お礼を言って、その場から走りだそうとした時だった。



「あっ、ちょ…ちょっと待って!!」



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