不良狼の一途な溺愛
「ゆ、柚!?」
こちらに視線を向けた蓮君は、私の姿を見るなり目を思いっきり見開いて驚く。
シーンと静まりかえっていた倉庫内は、瞬く間に騒つき始めた。
「ど、どうして柚がこんな所に…!?」
「あっ、えっとそれは…」
経緯を説明しようとすると、蓮君と対峙していた男の子がフッと笑った。
「へー、君が御苅 柚?」
「えっ!?」
どうして、私のフルネームを知ってるの…??
初対面なのに…。
ポカンと口を開けていると、男の子はゆっくり私の方に近付いてきた。
「紫堂がベタ惚れしてる女だ…って噂で聞いてたから、どんな女か興味あったんだよね。派手めの女を想像してたから、ちょっと意外。」
頭のてっぺんから爪先までジロジロと見られ、私は肩をすくめた。
「おい、黒賀…。てめぇ、何やってんだよ。勝手に柚に近づくんじゃねぇ。」
すぐさま、蓮君の低い声が飛んでくる。
こ、この人が黒賀っていう不良なのか…。
オレンジ色の髪、耳にはピアスがいくつもつけられている。
切れ長の目はとても鋭くて、何だか恐怖を感じた。