不良狼の一途な溺愛
「あの、どうして私の名前を知ってるんですか…?」
私なんかの質問にいちいち答えてくれるかは分からないけど、ダメもとだ。
「ああ…、そりゃ分かるさ。」
当然…と言わんばかりの口調に、私の頭はますます疑問符が増えていく。
紫堂君って、まさか超能力者…!?
混乱している私をよそに、紫堂君は制服のポケットから何かを取り出した。
「だって、ここに…お前の名前が書いてあるんだから。」
「あっ…!!」
それを見た瞬間、私は大きな声をあげてしまった。
なぜなら、紫堂君が手に持っているもの。
それは、今の今まで私が探していた学生証だったからだ。