不良狼の一途な溺愛
「きゃっ!!はっ、離して!」
ビックリした私は、体を捩って離れようと抵抗するけれど、ビクともしない。
黒賀君は全く動じることなく、抱きしめたままだ。
「黒賀、自分が何してるか分かってんのか?」
「ああ、もちろん。お前の方こそ、さっきの言葉をもう忘れたとか言わねぇよな?」
そう言った黒賀君に、蓮君チッと舌打ちをする音が聞こえてきた。
さ、さっきの言葉…?
そう言えば倉庫に入って来た時、やけに静かだったけど、一体…何を話していたんだろう…?
「忘れてねぇよ。“柚に手を出して欲しくなければ、俺たちの気が済むまで殴らせろ”だっけ?まるで脅しだな。」
えっ…?
な、何それ…。
ゆっくり顔を上げると、黒賀君と視線がぶつかった。
「い、今の…どういうことですか?」
何も言わずにはいられなくて、思わず訊ねる。
黒賀君は、冷ややかな瞳で私を見ながら、口の端を吊り上げて笑った。