不良狼の一途な溺愛
「それにしても、まさかアンタがここに来るなんて思ってもみなかったな。」
黒賀君は私の耳元に顔を近付けると…
「せっかくだから、紫堂をボコッた後でアンタのこと…可愛がってやるよ。」
そう囁いた。
「やっ…!そんなの嫌っ!いい加減、離してよっ!!」
懸命にもがく私だけど、黒賀君は抱きしめる力を強くする。
抵抗するだけ無駄だ…と言わんばかりの行動。
為す術がなく、ため息を零した。
「黒賀。てめぇ、絶対に許さねぇ…。」
蓮君の恐ろしいほど低い声に、体が震えた。
「柚に触れた罪は重いからな?」
ひしひしと伝わってくる蓮君の怒り。
これまで感じたことのない、怖さだ。
「ったく、触れただけなのに大げさなヤツだな。そんなこと気にするより、てめぇは大人しく俺らに殴られろ。」
「柚を離せ。」
「てめぇをぶっ潰した後で、ちゃんと解放してやるよ。」
「……………。」
蓮君からは何も言葉が返ってこない。
ま、まさか…
黒賀君たちに殴られるつもりなの…!?