不良狼の一途な溺愛

そんなことしたら、大ケガしちゃう…。


全治数週間…なんてことになるかもしれない。


どうしよう…。


こんな深刻な状況で、私は何も出来ないなんて…。


ズキリと胸に痛みが走った。



「巷で最強の不良と恐れられてる紫堂が、一人の女のために俺らにボコボコにされるなんてな。惚れた弱みってヤツか。」


黒賀君は声をあげて笑い出す。


倉庫の外まで響きわたりそうなほどの大きな声だ。


どうして…？


なんでこんな時に楽しそうに笑えるの…？


おかしいよ…。


怒りでフルフルと体を震わせていた時だった。





“ガッ”


突然…鈍い音が聞こえたかと思うと、抱きしめられている圧迫感がなくなり、塞がっていた視界が開ける。


ふと視線を落とすと、私から少し離れた場所に黒賀君が倒れているのが映った。