不良狼の一途な溺愛

「これ、柚ちゃんが蓮のために持って来てくれた差し入れ。」


そう言って、お兄さんがゆっくりとテーブルの上に置いたのは、私が持って来た紙袋だった。


あっ…。


そう言えば、私…蓮君を探しに行く前に、お兄さんに紙袋を預かってもらってたんだ…。


色んなことがあったからスッカリ忘れてた…。


「俺のために…差し入れを持って来てくれたのか?」


蓮君に驚いた表情で訊ねられ、私はコクンと頷いた。


「蓮君、自宅謹慎中だから買い物にも出れないと思って、お弁当とマフィンを作って来たの…。お弁当は夕食に食べてもらえたら…って思って。」


「マジかよ…。」


蓮君は、パアッと嬉しそうに表情を和らげる。


少しだけ頬が赤くなっているように見えた。


「すげぇ嬉しい。ありがとな、柚。」


笑顔でお礼を言ってくれた蓮君に、私も笑みが零れる。


心に嬉しい気持ちが広がった。



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