不良狼の一途な溺愛

「中…見てもいいか?」


「うん、もちろん…。」


そう返事をした途端、蓮君は紙袋の傍へと駆け寄る。


行動の素早さに、私は思わず、クスッと笑ってしまった。


「相当、嬉しいみたいだね…柚ちゃんからの差し入れ。」


お兄さんはニコニコしながら私の近くにやって来た。

「喜んでもらえて私も嬉しいです…。あっ、でも…お兄さんは、どうしてあれが差し入れだ…って分かったんですか?」


確か、お兄さんには中身のことは何も言わなかったはず…。


ふとした疑問に首を傾げると、お兄さんは目を細めて笑った。


「そりゃ分かるよ…。紙袋の中をチラッと見たら、大きなお弁当箱や可愛くラッピングされたお菓子が入っていたからね…。柚ちゃんが蓮のために、心を込めて作って来たんだなぁ…って思ったんだ…。」


ボボボッと頬が熱くなる。


照れくさいやら、恥ずかしいやらで、どんどん体温が上昇していく感覚だ。


「その反応、すごく可愛い…。なんだか…柚ちゃんを見てると、微笑ましさを感じちゃうよ。」


「えっ…」


今の私の状態って、微笑ましいんだろうか…。


顔はゆでダコのように赤いだろうし、あまり見られたものじゃないと思うんだけど……。


頬を手で押さえていると、蓮君がお兄さんのところにスタスタとやってきた。



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