不良狼の一途な溺愛

「別に美咲さんが居なくたって、1人で食べればいいじゃねぇか。」


「1人よりも3人で食べた方が楽しいだろ?俺…柚ちゃんの手作り料理、食べてみたいし。」


「何言ってんだよ…!柚の手料理は全部俺が食べる。兄貴には絶対にやらねぇから。」


お兄さんを鋭い目で睨む蓮君。


かなりイライラしているのが見ていて分かるけれど、お兄さんは至って穏やかな笑顔だ。


「それじゃあ、俺は…宅配ピザでも頼もうかな。柚ちゃんもそれでOK?」


「あっ、はい…。」


パッと飛んできた質問に、反射的に答えると、お兄さんは携帯電話を取り出して、あっさりとピザを注文してしまった。


「兄貴、てめぇ……」


怒りのオーラ全開の蓮君に取り合うことなく、お兄さんは私に微笑んだ。


「ピザがくるまで時間があるし、柚ちゃんとお喋りしようかな。」


「そんなのダメに決まってんだろっ!」


「少し話をするぐらい、別にいいじゃん。」


「……よくねぇ!!」


キッパリと言葉を発した蓮君は、再び私の隣に腰を下ろすと、肩を抱き寄せた。



< 352 / 364 >

この作品をシェア

pagetop