不良狼の一途な溺愛
「とりあえず、場所変えるわ。ここだと途中で邪魔が入る可能性あるし。」
「えっ!?」
周りを気にするかのようにキョロキョロと視線を動かした紫堂君は、私の手を引いて歩き始めた。
「ちょ、ちょっと…紫堂君!?」
邪魔って、何?
どこ行くの??
一気に不安な気持ちが増していく。
「こっち。」
でも、そんな私をよそに、紫堂君は渡り廊下に出ると、私たちの教室がある棟とは反対方向へと進んで行く。
昨日、私が職員室を探していた時、人気がなさそうだなぁ…と思って行くのを躊躇った棟だ。
あれ?
昨日、見た時は…扉が開いてたのに…誰か閉めたのかな…。
ピタリと閉まっている頑丈そうな扉。
その扉には、“立入禁止”と書かれた紙が貼られていた。
へぇ…、ここって立入禁止の棟だったのか……。
…………。
えっ、待って!!
こっちに連れて来られたってことは、まさか…。