不良狼の一途な溺愛
立入禁止と書いてあったから、かなり古い建物なのかと思いきや、意外と中は綺麗だ。
「ほ、本当に大丈夫なの?先生に怒られるよ…?」
「そんなの慣れてる。」
いやいや、そういう問題じゃないってば。
気が進まない私とは裏腹に、紫堂君はズンズンと奥の方へと進んでいく。
突き当たりの階段を全て上りきると、その先にある扉の前で立ち止まった。
「到着。」
紫堂君は、何食わぬ顔でポケットから鍵を取り出すと、鍵穴へと差し込んだ。
「な、なんで鍵を持ってるの!?」
「もらった。」
一体、誰から貰ったんだろう…。
こんな場所の鍵、生徒が持ってるなんてこと…まずないよね…。
紫堂君の人脈のスゴさに驚いていると、ギギッと鈍い音をたてながら扉が開けられた。