不良狼の一途な溺愛
「どうした?顔、少し青ざめてるけど…。」
「い、いえ…!なんでもないです!」
紫堂君に掴まれていた手をパッと振り解いて、フルフルと首を左右に振った。
そりゃ、顔だって青ざめるよ…。
生きた心地しないもん…。
ヨロヨロとおぼつかない足取りで屋上のフェンスまで歩いた私。
ため息をつこうと思ったけれど、目に映る景色に驚いてしまった。
「わぁ、いい眺め!」
思わず、そんな言葉が零れる。
視界には、夕焼けに照らされた街並みが一面に広がっていた。
さすが、少し高台に建っている高校だけあって、見晴らしがいいなぁ…。
一気にテンションが上がり、表情が緩んでいく。
「ここから見る景色、とても素敵だねっ、紫堂君!」
感動を分かち合いたくて、紫堂君に声を掛けたけど…
なぜか、焦ったような感じでフイッと視線を逸らされてしまった。