不良狼の一途な溺愛
なんなの、今のリアクション…。
景色には興味が無いってことなのかな…。
せっかく、ここに出入りしてるのに勿体ない…。
そんなことを思いながら、私は、おそるおそる本題を切り出した。
「あの、それで話というのは……」
紫堂君の視線が、真っ直ぐ私へと向けられる。
鋭い瞳に背筋がピンと伸びた。
こ、恐い…。
私…何か恨まれるようなことをしたんだろうか…。
体を強張らせていると、紫堂君もフェンスの傍までやって来た。
「あのさ、昨日は……悪かったな。」
「えっ…」
「本、柚の頭に落としちまっただろ?もう痛くねぇか?」
「は、はい…。」
「そっか。それなら良かった。」
まさか、そんな風に謝られるとは思っていなかった私は、拍子抜けしてしまった。