不良狼の一途な溺愛
これが紫堂君の話したかったこと?
いや、そんなわけない…。
きっと、話は…これからよね…。
身構えていると、紫堂君はを私に見せるように自分の手を突き出した。
「それと、これ…ありがとな。」
「えっ、ど…どういたしまして。」
どうやら、絆創膏のお礼を言っているみたいだ。
昨日、私が貼ったままになってるってことは、消毒はしてないみたいだな…。
まあ、家に帰った後に、わざわざ消毒するとも思ってなかったけど。
「いつも、絆創膏…持ってんのか?」
突然、紫堂君から質問が飛んできたので、驚いてビクッと体が震えた。
「はい…。普段から数枚は持ち歩いてるんです。私、運動神経がいい方じゃないので、いつケガしても大丈夫なようにと思って。」
「わりと用心深いんだな。」
「そうですか…?いざという時のために準備しておくと安心できますよ。」
「なんか、高校生とは思えねぇ言葉…。」
「そんなことないですよっ!同じように感じる人だっていると思います。だって、世界は広いですし。」
そう言うと、紫堂君はフッと吹き出すように笑った。