不良狼の一途な溺愛
「普通、そこで世界を引き合いに出すかよ…。柚って面白いこと言うんだな。」
わっ…。
紫堂君が笑ってる…。
昨日から不機嫌そうだったり、無表情だったり。
こちらが恐怖を感じるような雰囲気だったのに…。
へぇ…。
笑ったりもするんだ…。
意外…。
ジーッと見ていると、紫堂君は私の視線に気付いて、少し眉間にシワを寄せた。
「何だよ。」
「べ、別に…。ただ、紫堂君が笑ってるなぁ…って思って。」
「は?」
「もっと笑顔とか増やせばいいのに!不機嫌そうにしているよりも、よっぽど似合ってると思いますよ!」
「…………。」
あれ?
沈黙しちゃった…。
しかも顔が少し赤いような気が…。
夕焼けのせい…?
しばし様子を伺っていると、紫堂君は不意に私の目の前に立った。