不良狼の一途な溺愛
何事!?
女の子たちの悲鳴…というか、歓声が聞こえるんだけど…。
「どうしたんだろうね?」
「う、うん…。」
私は頷きながら、教室の入り口へと視線を向けた。
そして次の瞬間、教室に入って来た人物に目を大きく見開いてしまった。
し、紫堂君!?
なんで朝から律儀に教室に来てるのよ…!
驚きのあまり、開いた口が塞がらない状態だ。
「あっ、紫堂君だ!ほらほら、柚…あの人が紫堂君よ!めちゃくちゃカッコいいでしょ?」
バシバシと興奮気味に私の肩を叩く沙織に、“へぇ…。”と適当な相づちを打った。
そっか…。
沙織は、今…私が初めて紫堂君を見たと思ってるんだ…。
まだ何も話してないもんね、運悪く紫堂君に会った上に、目をつけられてしまったこと。
よし、沙織にだけは後で言っておこう。
そうすれば、今後増えるであろう、悩みとか不満とかに対して、親身に相談に乗ってくれるだろうし…。
あれこれ考えているうちに、紫堂君の周りには、たくさんの女の子たちが群がっていた。